江戸にはエコの生活様式がいっぱいつまっている!持続可能社会へのヒントに!
エコって言葉をいろんなところで見聞きします。
エコはEcologyのEcoをとった和製英語ですから、「Ecology」の定義を調べてみると
狭義には
生物学の一分野としての生態学のこと。
広義には
生態学的な知見を反映しようとする文化的、社会的、経済的な思想や活動を指す言葉とされてます。
地球では、いろんな生物や大気、水、土などが有機的に結びついて物質が循環し、一定の生態系を保っています。
人間もこの生態系の中に組み込まれて循環していたのですが、近代文明の発達とともに大量生産大量消費社会が大気や水、土などを汚染し、生態系の秩序を壊し、地球環境が破壊されてきました。このままでは地球がもたないということでエコブームが起きているんですね。
大量生産大量消費社会が行き詰まってきている中、持続可能なエコ社会をどう構築していくか?ヒントになるのが江戸時代の生活様式なんです。
3つのR
江戸時代には3つのRがなされてました。
①リデュース:ごみの減量
ものを大切に使い、ほとんど捨てることがありませんでした。
②リユース:再利用
多くの種類の「修理」や「再生」の専門の職人がいて、ものを修理しながら長く大事に使ってました。
・陶磁器が割れたとき修理する瀬戸物の「焼き接ぎ屋」
・鍋や釜などの穴があくと、それを修理をする金属製品修理の「いかけ屋」
・木の樽や桶の箍(たが)を修理する「箍屋」
・下駄の「歯入れ屋」
・包丁などの刃物を研ぐ「研ぎ屋」
その他にも「提灯張替屋」、そろばん、傘、メガネの修理屋などありとあらゆる修理屋さんが揃ってました。
③リサイクル:再資源化
紙くず、金物くず、生ごみなどあらゆるくずが拾い集められ、くず寄せ場で種類別に分別されてました。
そこに各々専門の業者がお金を払って引き取りにきて、それを売って再生紙、新しい金物、堆肥に生まれ変わっていました。
●再生紙の中でも「浅草紙」は江戸の名産品となっていたようです。
●大衆のほとんどは古着屋で着物を買って、その着物が古くなると、子供用に作り直したり、ぞうきんやおしめにし、ハギレは端切れ屋に売るなどして無駄なく活用されてました。
そもそも織物ができるまで人手がかかっており、その大切さがわかっているだけに大事に使おうという気持ちにもなれるんでしょうね。
●実でない稲わら(茎と葉の部分)なども衣食住のあらゆる部分に利用されました。
・衣料関連として
編笠、わら手袋、蓑、腰蓑、草履
・食関連として
米俵、飯びつ入れ、釜敷、鍋つかみ、弁当入れ、納豆のわらづと
・住関連として
屋根、土壁の補強材、畳床、縄、ほうき
●人の排泄物は下肥(しもごえ)として、家畜の糞もたい肥として徹底利用されており、人も自然の循環のしくみにうまく組み込まれていました。
このようにゴミがでないようにいろいろと工夫されてましたが、それでも出てしまうゴミは永代島に集められ埋立地に使われていたそうです。
生活排水なども米のとぎ汁や洗濯(洗剤、石鹸でない)の水ぐらいで川を汚染するようなものではなかったので環境にやさしかったんですね。
和服などを洗う際には傷まないようにするために、糸をほどいて洗っていたそうです。
居住空間も無駄なく利用
江戸時代では一つの長屋に10世帯程度が住んでました。
長屋では井戸、トイレが共同で1ヶ所にまとまってましたので10戸分のスペースも設備も必要ないんですね。
長屋の中の一つの世帯には、6畳ほどの空間に5〜6人が住んでいたそうです。
6畳に5,6人というと寝るのが精いっぱいって感じの空間です。
どのように生活していたかというと、時間帯別にうまく使い分けていたんですね。
朝起きると布団をたたみ、片付けます。
箱膳を用意し、食事をしたら、その後、畳をはずして板間にし、職人の作業場にします。
日中、子どもは寺子屋や、外に遊びに行って家にいませんから、部屋が仕事場にできるんです。
日中の仕事が終わると畳を敷いて家族の居間になり、さらに布団を敷いて寝室になっていきます。
たいへん合理的に居住空間ができていて、住宅用に無駄な資材も消費しなくてすみますし、狭いので余分なものも持てませんね。
このように江戸時代は、ものを大切に使い、壊れたら修理し、最後までそれを使用できるように「直す」~「集める」~「売る」という流れが仕組化されていて、リサイクル社会を実現していました。
しかし江戸時代の徹底された循環型エコ社会のしくみはすごいですね。
このような社会システム全体のデザイン力もすごいんですが、その大元は大衆の「足るを知る」の精神が徹底されているところなんですね。
最近は断捨離、ミニマリストなど「足るを知る」の精神が少しずつ浸透してきているのかもしれませんね。
江戸時代の知恵のいいところは、取り入れていきいたいものです。
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