まちづくりに欠かせないワークショップの適正規模は何人?
国の戦略の一環でもある地方創生戦略のもと、いろんな地域でまちづくりが行われています。
まちづくりを行う際に、ほとんどの地域で行われているのが、ワークショップです。
まちづくりのワークショップにより、「誰かが勝手にやっている」感をなくし、地域住民の意見を取り入れたり、地域の方向性のベクトル合わせをしたりするわけです。
ワークショップの適正規模
まちづくりに欠かせないワークショップですが効果的に行うためには、その適正規模は何人ぐらいで行うのがよいのでしょうか?
一般的に言われているのが12人から40人ほどで、6人ずつ4グループの24人が適正規模のようです。
私個人がいろんな規模のワークショップを経験した中で6人ずつ4グループが、やはり最適な気がします。
その理由ですが
まず1グループ6人ほどが、ほどよくいろんな意見が出て、ある人が話しすぎたり、ある人が全然話さないという状況を避けやすい気がします。
2,3人では意見やアイディアに乏しくなったり、10人ぐらいになると、一人一人が均等に話すだけでも多くの時間がかかり、集中できにくくなります。
また6人ほどの規模ですと、話しているうちにお互いのことが理解しやすく、距離も縮めやすい気がします。
グループとしてのまとまりが出てくるんですね。
ワークショップでは、最後に各グループごとにまとまったものを発表していきます。
1グループにつき10分発表したとしましょう。
4グループでは40分、6グループでは60分、10グループでは100分です。
人が話に集中できる時間というと、個人差、年齢差により様々ですが、まちづくりのワークショップなどご年配の方も参加されるので、長くとも1時間以内には抑えた方がよさそうです。
時間が長いと、集中できないうえに、いろんな意見が出すぎて、結局、頭の中がごちゃごちゃになったり、何にも残らないないという状況にもなりかねないですからね。
ワークショップって成果が出る?
今までいくつかワークショップに参加してきましたが、これで成果につながるのかな??
というものが多く、なかなかうまく機能しているものに出合ってません。
うまく機能しない原因として、今まで経験してきた中から次のような要因があるのかな〜と感じてます。
・ワークショップやワークの目的自体が明確になっておらず、目指す方向とずれている場合がある。
・参加者に偏りがあり、有意義な話し合いがなされていない。
・ファシリテーター自身がワークショップの運営に慣れてない方が多く、リードしてうまくまとめきれていない。
・参加する人の属性、特徴、レベル等を事前に把握しておらず、グループ分けがうまくいっていない。
・グループ分けが適当だと、グループ内で話が通じなかったり、一部の人しか意見を言わなかったりする。
・話し合われる中身が表面的なものが多く、潜在的なものに踏み込まれたものになっていない。(潜在的なニーズ、ウォンツを引き出すことができていない)
などが考えられます。
結局、
①ワークショップの目的が不明瞭
②適正な人選がなされていない
③参加者の属性・特徴などの事前把握およびそれを踏まえたグループ分けがなされていない
④プロのファシリテーターが少ない
などがうまくいかない原因と考えられ、解決していく必要があります。
①ワークショップの目的が不明瞭
ワークショップの目的は一般的には、勘違いする方も多いですが、合意形成の道具ではなく、参画の道具・方法です。
地域によっては、「ワークショップを開く=住民参加した」という免罪符的に捉えるケースもありますが、ワークショップはあくまでも参加した個人の認識が広がり、集団の創造性を開発するためのツールです。
合意形成に関しては、それ以前の問題の掘り下げや多面的な検討という部分で役に立ちます。
そうして参加者が創造的に提案し、行動につながったり、参加者同士の対話につながっていきます。
何のためにワークショップが行われるのか?その目的と、ワークショップで出た結果を今後どのように活かしていくのか?位置づけを明確に参加者に事前に理解してもらうことが大切です。
②適正な人選がなされていない
まちづくりのワークショップはまちの広報誌やポスター、自治体のwebサイトなどで知らせる公募形式が一般的ですが、ワークショップに必要な地域のキーパーソンなのど指名や推薦も組み合わせた形が、好ましい形です。
③参加者の属性・特徴などの事前把握およびそれを踏まえたグループ分けがなされていない
いつも一緒にいるような方同士のグループよりは、普段会わない方との組み合わせの方が適度な緊張感も生まれ、異なる価値観がぶつかり、新しいものが生まれるきっかけになります。
いろんな年齢層別、男女別などの似たような経験値で固めたグループの方がグループごとの対抗意識につながるという考え方もある一方、できるだけいろんな属性・層の人が同じグループにいた方が多様な意見交換ができて、いいという例もあります。
ですから、参画者のリストを見ながら、今回のワークショップのテーマについては、どのような人員の組み合わせが最も効果的であるか?事前に仮説を立ててイメージングすることが大切です。
④プロのファシリテーターが少ない
ワークショップのやり方に慣れている参画者の場合、そうでない場合、グループごとに話が停滞したり、偏ったりしている場合に適切に流れを変えてやったりなど、プロのファシリテーターの存在が、ワークショップのうまくいく、いかないを左右していきます。
また全体的に表層的な意見が多く、深層的な根っこにある問題などをあぶりだす必要がある場合に、ファシリテーターはワークのやり方を変えたり、適切な質問を投げかけたり、状況に応じた柔軟な対応をする必要があります。
そういう意味で真のプロのファシリテーターの養成がワークショップを活かすためには、一番重要かもしれません。
見よう見まねのにわかファシリテーターが多い今日ですが、ファシリテーターのプロ養成が、まちづくりの第一歩かもしれませんね。
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